交通事故や転倒などによる衝撃で首に違和感や痛みを感じた際、それが「むちうち」である可能性は少なくありません。むちうちの症状は実に多様で、首の痛みや動きの制限に留まらず、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴り、手足のしびれ、倦怠感、集中力の低下など、全身に影響を及ぼすことがあります。そのため、どの医療機関を受診すべきか迷う方も多いでしょう。適切な診療科を選ぶことは、早期回復への第一歩となります。むちうちでまず最初に検討すべきは、やはり整形外科です。整形外科は、骨、関節、筋肉、靭帯、神経といった運動器の損傷や疾患を専門とするため、むちうちによる首の捻挫や神経圧迫、筋肉の損傷などを診断し、治療するのに最も適しています。レントゲン、MRI、CTスキャンなどの画像診断を用いて、目に見えない内部の損傷を確認し、正確な診断を下します。治療としては、消炎鎮痛剤の処方、筋弛緩剤の投与、温熱療法、牽引療法、電気治療、運動療法などのリハビリテーションが行われます。多くのむちうち患者は整形外科での治療で症状の改善が期待できます。しかし、むちうちの症状が神経系の問題に深く関わっている場合、神経内科の受診も有効な選択肢となります。特に、広範囲にわたるしびれ、感覚異常、筋力低下、あるいはめまいやふらつきが顕著な場合は、神経内科医による詳細な神経学的検査が必要です。神経内科医は、脳や脊髄、末梢神経の疾患を専門とし、神経伝達の異常や損傷の有無を特定し、適切な治療法を提案します。さらに、事故のショックや長期にわたる痛みが原因で、精神的な負担を感じている場合は、心療内科や精神科のサポートも重要です。不眠、不安、抑うつ気分、集中力の低下などの症状が現れた場合、心の専門家がカウンセリングや薬物療法を通じて、精神的な回復を促し、結果的に身体症状の改善にも繋がることがあります。むちうち治療においては、身体的な治療と精神的なケアの両面からアプローチすることが、より良い回復に繋がると考えられています。また、初期対応として、近所のクリニックを受診するのも良いですが、必要に応じて専門性の高い病院を紹介してもらうことも大切です。症状が軽いからといって自己判断で放置せず、まずは医療機関を受診し、医師の診断を受けることが何よりも重要です。
むちうち後の受診科目の選び方