一度、非該当という判断が下されると、それを覆すのは容易ではありません。しかし、統計的には異議申し立てによって等級が認定されるケースは一定数存在します。肩腱板損傷における異議申し立てを成功させるための戦略は、前回の判断でなぜダメだったのかという理由を徹底的に論破することにあります。例えば、非該当の理由が加齢による変性であるとされた場合、これに対抗するには放射線科の専門医による画像鑑定書が非常に有効です。事故前の健康診断の記録や、過去に肩の治療歴がないことを証明する診断書を添えることで、事故が原因であることを補強します。ある成功事例では、40代男性が当初非該当とされましたが、事故直後のレントゲンと数ヶ月後のMRIを詳細に比較し、大結節という骨の部分に微細な剥離骨折の痕跡を見つけ出したことで、12級13号が認められました。このように、見落とされていた微小な外傷を見つけ出すことが、逆転の決め手となります。また、別の事例では、可動域制限が基準に10度足りずに非該当となった女性が、再測定の際に測定方法の誤りを指摘し、さらに筋電図検査の結果を提出して神経麻痺の影響を証明したことで、12級を獲得しました。異議申し立てを行う際は、単に前回の書類を出し直すだけでは不十分です。必ず新しい医証を用意しなければなりません。そのためには、肩の専門外来を受診し、セカンドオピニオンを得ることも検討すべきです。一般的な整形外科医は交通事故の認定基準に詳しくないことが多いため、スポーツ整形や肩関節鏡の専門医に依頼することで、より説得力のある意見書を書いてもらえることがあります。また、自覚症状報告書の作成も重要です。顔を洗うときに手が届かない、寝返りを打つと痛みで目が覚めるなど、日常生活での具体的な困りごとを可視化することで、審査員の主観に訴えることができます。異議申し立ては、いわば裁判の控訴のようなものです。専門的な知識と戦略を持って臨まなければ、同じ結果を繰り返すことになります。しかし、諦めずに証拠を精査し、論理的に主張を組み立てることで、非該当という壁に穴を開けることは十分に可能なのです。
非該当を覆す異議申し立ての戦略と成功事例の分析