熱中症が体に与えるダメージは、意識障害のような目に見えるものだけではありません。特に腎臓は、熱中症による脱水や横紋筋融解症の影響を最も受けやすい臓器の1つです。重症の熱中症を起こすと、筋肉の成分であるミオグロビンが血液中に流出し、それが腎臓のフィルターを詰まらせることで急性腎不全を引き起こします。救急病院で治療を受けて一時的に回復したとしても、その後数週間から数ヶ月にわたって腎機能が以前のレベルに戻らず、慢性的な体調不良を招く後遺症となるケースがあります。こうした状況で受診すべきは何科かと言えば、腎臓内科です。もし、熱中症の後から尿の出が悪くなったり、逆に回数が異常に増えたり、あるいは全身のむくみや取れない疲れを感じたりしているのであれば、腎機能の低下を疑う必要があります。腎臓は「沈黙の臓器」と呼ばれ、機能がかなり低下するまで自覚症状が出にくいのが特徴です。そのため、熱中症をきっかけに慢性腎臓病へと進行してしまうリスクを未然に防ぐためには、専門医による定期的な血液検査と尿検査が不可欠です。腎臓内科では、クレアチニン値やeGFRといった数値を詳しく分析し、必要に応じて食事療法や薬物療法を組み合わせて、腎機能のさらなる悪化を食い止めます。熱中症の後遺症として、ただのだるさだと思っていたものが、実は腎臓のろ過機能の低下による尿毒症の初期症状だったということもあり得ます。また、血圧の異常な上昇も腎機能低下のサインであることがあります。病院へ行く際は、熱中症の際に行われた血液検査のデータを持参すると、比較ができて非常に役立ちます。内科の中でもより専門性の高い腎臓内科を訪れることで、熱中症が残した爪痕を正確に把握し、長期的な健康管理の指針を得ることができます。熱中症を過去の出来事として片付けず、内臓レベルでの後遺症がないかをチェックすることは、数年後の自分への投資と言えます。特に高齢者や持病がある方は、熱中症を境に腎機能の予備能が低下しやすいため、違和感があればすぐに専門医の門を叩いてください。
腎機能の低下や倦怠感が続く熱中症後の腎臓内科治療