指の骨折において骨がつくことは治療のゴールではなく、指が自在に動くようになることこそが真の目的です。後遺症を最小限にするためのリハビリにはいくつかの重要なコツがあります。まず第一にリハビリを開始するタイミングですがこれは早ければ早いほど良いとされています。医師の許可が出たその瞬間から1日も休まずに動かし始めることが鉄則です。指の組織は非常に薄くわずか3日間の不活動で腱や関節包の癒着が始まってしまいます。リハビリの基本は痛みが出ない範囲でゆっくりと最大可動域まで動かすことですがここで有効なのが温熱療法の活用です。40度程度のぬるま湯の中で指を動かすと筋肉や組織が緩みやすくなり血流も促進されるため陸上で行うよりも効率的に可動域を広げることができます。具体的な動作としては腱滑走訓練、いわゆるテンドン・グライディング・エクササイズを推奨します。これは指の第1関節だけを曲げる、次に第2関節、そして拳を作るというように段階的にポーズを変えていくことで指の中を通る複数の腱を独立して滑走させるトレーニングです。これにより骨折部位の周辺で腱が骨に癒着するのを防ぐことができます。また動かすことだけでなく感覚のリハビリも忘れてはいけません。骨折後は脳がその指を使うことを忘れてしまう感覚欠如が起きやすいため様々な素材の布に触れたり小さな豆を摘んで移したりする動作で脳への感覚入力を活性化させましょう。リハビリ中にやってはいけないことは無理やり強い力で関節を曲げることです。過度な外力は組織を傷つけ炎症を再燃させ結果としてさらに固い組織が作られる悪循環を招きます。1ミリの改善を喜ぶ粘り強い精神こそが後遺症を回避する最大の武器となります。また夜間のセルフケアとして指の浮腫を管理することも大切です。むくみが放置されると組織の線維化が進むため寝るときは手を心臓より高い位置に置くなどの工夫をしましょう。さらにタンパク質やビタミンCなどの栄養を十分に摂取し組織の修復を身体の内側からサポートすることも重要です。リハビリは1日に数時間まとめてやるよりも5分程度の短い時間を1日に10回繰り返す方が神経の再教育としては効果的です。専門の作業療法士の指導を受けながら自分の指の構造と向き合い一歩一歩着実に取り組んでいきましょう。その努力が将来の自由な手の動きを創り出すのです。
指の骨折で不自由を残さないためのリハビリのコツ