後遺症の悲劇

2026年6月
  • 肩腱板損傷の機能障害と神経症状の境界線を知る

    医療

    後遺障害の等級認定において、肩腱板損傷は大きく分けて2つのカテゴリーで審査されます。1つは関節の動きが悪くなる「機能障害(10級や12級)」、もう1つは痛みやしびれが残る「神経症状(12級や14級)」です。多くの被害者がこの違いを理解していないために、適切な主張ができずに非該当となってしまいます。機能障害として12級が認められるには、肩の動く範囲が健康な側の4分の3以下にならなければなりません。例えば、通常180度上がる肩が135度以下しか上がらない状態です。しかし、肩腱板損傷の恐ろしいところは、全断裂であっても他人の手で動かせば(他動運動)180度近くまで上がってしまうことが多いという点です。認定基準は他動運動を重視するため、激痛をこらえて上がってしまう場合は機能障害として認められず、非該当とされるリスクがあります。ここで重要なのが、第2のカテゴリーである神経症状です。もし可動域の制限が基準に満たなくても、画像で腱板の損傷が確認でき、痛みの原因が医学的に説明可能であれば、14級9号の認定を受けることができます。さらに、腱板の変形が著しく、重度の神経症状が証明されれば、12級13号という上位の等級も視野に入ります。非該当にならないための戦略としては、まず自分がどちらのカテゴリーに該当しそうかを見極めることです。可動域が明らかにおかしいのであれば機能障害をメインに主張しますが、それと同時に必ず痛みによる神経症状の予備的主張も入れておくべきです。医師によっては、痛みを和らげようと注射や薬を多用しますが、認定の段階ではその治療の継続性自体が有力な証拠となります。14級は簡単だと思われがちですが、実態としては最も非該当になりやすい等級でもあります。画像所見が不十分だと、単なる主観的な痛みの訴えとみなされてしまうからです。自分の症状が、筋肉の物理的な欠損によるものなのか、それとも傷ついた神経の興奮によるものなのか、医師としっかり議論して診断書に反映させることが大切です。この境界線を正しく理解し、自分の症状に最も適したルートで申請を行うことが、非該当という落とし穴を避けるための賢明な方法となります。