指の骨折後に骨はきれいにくっついたもののいつまでも指先がしびれたり触れると嫌な痛みが走ったりする後遺症に悩まされる人がいます。これは骨折時の衝撃やその後の浮腫によって指を通る指神経が損傷あるいは圧迫されたために起こる神経障害です。指の神経は非常に細く皮膚のすぐ下を通っているため外部からの影響を受けやすい特性があります。こうした神経症状に対する第1の対処法は末梢神経の修復を助けるビタミンB12製剤の内服です。神経の髄鞘を保護し電気信号の伝達を正常化させることでしびれを和らげることが期待できます。第2の対処法は脱感作療法と呼ばれるリハビリです。神経が過敏になりわずかな接触を痛みとして認識してしまう状態、すなわち異痛症がある場合にあえて様々な質感の素材に触れる練習をします。柔らかな綿から始め少しずつザラザラしたタオルや硬い素材へと移行することで脳の感覚野に正しい情報を送り込み過剰な警戒態勢を解いていきます。第3の対処法は血流の改善です。神経の再生には酸素と栄養が不可欠ですが冷えは血管を収縮させ神経の回復を著しく遅らせます。入浴やパラフィン浴などで指を深部から温め代謝を上げることが重要です。また意外に知られていないのが姿勢との関係です。指のしびれが手首の神経の圧迫(手根管症候群)や首の神経の圧迫から来ているケースもあり指の骨折をきっかけに全体的な神経バランスが崩れることがあります。もししびれが強くなる一方であったり指の感覚が完全に消失していたりする場合は神経が物理的に断裂している可能性もあるため神経電導速度検査などの精密検査を受ける必要があります。神経の回復は1日にわずか0.5ミリから1ミリという気の遠くなるようなスピードで進みます。数週間で結果が出ないからと諦めるのではなく1年単位の長いスパンでケアを続けることが大切です。神経障害は目に見えない苦しみですが適切な薬物療法と感覚訓練を組み合わせることでその不快感は確実に軽減させていくことができます。自分の神経の生命力を信じて丁寧なメンテナンスを続けていきましょう。