指の骨折は全身の骨折の中で最も後遺症が残りやすい部位の1つですと語るのは手外科の第一線で活躍する専門医です。医師によると指の後遺症の多くは初期治療のミス、あるいはリハビリの不足に起因すると言います。指は1本1本が独立した高度な運動機能を持ちながらそれを駆動する腱や神経が骨に極めて近い距離で密集しています。骨折によって骨の表面がささくれ立つとそこを通る腱が物理的に引っかかり炎症を起こして周囲と一体化してしまうのです。これを腱癒着と呼び一度起きてしまうと剥がすのは非常に困難です。医師が推奨する後遺症予防の鉄則は必要最小限の固定期間を守ることです。最近の手外科治療では骨折部をマイクロプレートやスクリューで強固に固定し手術の翌日から指を動かし始める早期運動療法が主流になっています。固定が3週間を超えると関節の永久的な硬直を招くリスクが飛躍的に高まるためです。インタビューの中で医師は患者側の意識改革の重要性についても強調しました。多くの患者は骨がつけば治ったと考えがちですが骨がつくことと指が動くことは全く別の生理現象です。骨がついたとしても関節を包む袋である関節包が縮んでしまえば指は二度と元の角度まで曲がりません。そのため専門医はリハビリを自分で自分の人生を取り戻す作業と位置づけ患者に主体的な参加を促します。また医師はマレット指やブトンニエール変形といった指特有の変形についても警鐘を鳴らします。これらは指の先端や第2関節の伸筋腱が損傷することで起こりますが初期の固定が甘いと数年後に指がジグザグに曲がってしまう恐れがあります。これを防ぐには受傷直後に手外科専門医を訪れ指の機能解剖に基づいた精密なスプリントを作成してもらうことが不可欠です。また喫煙習慣がある患者は末梢血流が悪いため骨の癒合が遅れるだけでなく組織の線維化が進みやすいため後遺症のリスクが数倍に跳ね上がるという事実も無視できません。治療の成功には医療側の技術だけでなく患者自身の生活習慣の改善と地道なトレーニングの継続が不可欠です。最後に医師はこう結びました。指の1ミリは人生の質において大きな価値があります。その1ミリを守るために私たち専門医を最大限に活用してください。
手外科の専門医に聞いた指の骨折後遺症の防ぎ方